つまらぬものを斬ってしまった

誰の琴線にも触れないであろう日常のカタルシス

実家よ永遠(とわ)に

 

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こないだ

娘の卒業&進学祝いを実家でやったんですけど

久々のアウェー戦で猛烈に緊張してる夫を除いて

対する私サイド実家チームは

ポンコツキャプテン我が父を筆頭に

一切現場の空気が読めない人間の集まりですから

夫の緊張など露ほども気に留めないまま

母の先制ゴールを皮切りにファウルファウルの連続で

妹のオウンゴールでクライマックスを迎えると

最終的には「今日は何で集まったんだっけ?」

などとサポーターを失意のどん底に突き落とすような

マイファザーのPK(ポンコツコメント)戦によって

レッドカードでめでたく退場

試合の行方はと言うと

お祝い金をせしめた娘の一人勝ちってことで

 

どーも、まままっこりです

 

とまー、微笑ましい感じでお祝いは

アホみたいにつつがなく終えることができた訳ですが

 

実家に行って

改めて思った

私が家を出た時から

私の家は時が止まっているなって

 

ホントは家に居るときから気付いてたけど

 

なんて言うか

家電の老朽化が著しいなって

 

例えば

なんかこの部屋暑くない?っつって

妹が持ってきた扇風機は、私が小さい頃から

我が家に爽やかな風をもたらしてくれてる40年選手

 

今時珍しい昭和レトロな扇風機の姿は

何とか保ってはいるものの

もう音が

音がすごいの

ごぉぉぉおおおおーーーって

紅天女でマヤに降りてきた龍神かと思うくらい

ごぉぉぉおおおおーーーって

 

風力もね、すごい

風量調整できなくなって久しいから

常に全力

全力で嵐を起こそうとしてる

全力で老いと戦ってる

自分を変えようとしてる

 

もう小さい頃にア”ーって言ったり

鉄の柵の間から指を入れて

べべべべべべってなったりしたあの頃の

無邪気な扇風機の姿はどこにも無い

鉄の柵がすごい勢いでガタガタ言ってて

今指入れたら間違いなく持ってかれる

 

荒ぶる鉄の柵は枠ごと今にも外れそうで

プロペラに至っては羽ばたこうとさえしてる

俺を出せって

俺をココから出してくれって

自由を求めてる感が半端無い

俺のプロペラはこんなとこで終わるプロペラじゃねーっつって

タケコプターに俺はなる!っつって

 

いやもうそこまで気持ちが固まってるなら

私達家族は何も言うまい

もう引き止めたりしない

お行きなさい

 

そんな感じ

 

どんな感じ?

 

それから

帰りのタクシー呼ぶっつって

実家の電話使ったんだけど

これまた絶滅危惧種の黒電話なわけ

 

何十年も使い続けた黒電話は

そこだけ時が微動だにしてない

 

黒電話に掛けられてる母の手編みのレースもそのまま

黒電話の隣に大人しくたたずむメモ帳は

数年前にかかってきたオレオレ詐欺の電話番号が

当時のまましたためられているし

 

黒電話を乗せてる電話台もずっと同じやつ

黒電話を常に支えてきた彼は

あらゆる難事件をバッサバッサと解決していく

ワトソン君的、亀山君的ポジションでもって

黒電話の相棒の名を欲しいままにしている

 

黒電話本体に至ってはもう

新参者のスマホなんかには絶対出せない

ただならぬ大物の風格を漂わせていて

そこら辺の事務的な一般電話と

同じにしてもらっちゃ困るっていうか

抜きん出てるっていうかね

もうまるで存在感が違うよね

他の電話とは明らかに違う

そのダイアル

 

ジーーーー、コロコロコロコロ・・・

 

っていうね

 

なんとも深い間の取り方がね

往年の銀幕スター森重久弥のソレとね

オーバーラップする時もあるから

緊急時に9がたくさん付いた番号に掛ける時は

だいぶ尺を取るけど

0120のフリーダイアルに至っては

お手軽感が一気に損なわれるけど

結果的にはそこを評価されて

アカデミー賞とか軽くさらっていくから

真のスターってそういうもんだから

 

ポケベル時代に♯がなくて

ポケベル鳴るたび近所の電話ボックスまで

ダッシュするっていう

鬼の100本ノック時代を経て

今の彼の地位がある訳だけど

気がつけば彼にとってそんなことはもう

些細なことだったよね

 

ポケベル?ああ、そう言えばいたなーそんなヤツ

で、彼今なにしてんの?

 

ってね

当の黒電話ときたら余裕も余裕で

ファックスが登場しようが

携帯電話が登場しようがどこ吹く風で

いやまあ、乗り越えてきたからね

数々の試練を

乗り越えてきた彼だからこその重みというか

そこに尽きるよね

やっぱ

 

引退?

いつするの?って

そりゃー、世間が決めるっしょ

求めてる人が居る限り

電波の続く限り

一生死ぬまで現役でいたいね俺は

そう微笑む彼は

今もバリバリに仕事をこなしている

 

その日も

タクシーを呼んで受話器を置くと

チーン!

と律儀に返事をした

 

正直、昔はこの

チーン!

に随分恥ずかしい思いをしたものだ

 

好きな男の子に勇気を出して電話したときも

チーン!

失恋した親友の涙に付き合ってるときも

チーン!

身内に不幸があったと報告が来たときすら

チーン!

その辺は全然空気読まないから彼

 

そんな彼だからこそ

実家と半世紀にも渡って

蜜に付き合ってこれたっていうか

彼に隠し事は無いっていうか

そもそも出来ないっていうか

 

他にもまだまだ実家には

買ったばっかりの時に落としてしまい

液晶部分に大きくて黒い痣の出来てるTVや

扇風機の同窓生の電気ヒーターや

この世に最後の一台なんじゃないかっていう

二層式洗濯機とか

昨年とうとう長きに渡る天寿を

まっとうした冷蔵庫の偉大な功績とか

書きたいこといっぱいあるんだけど

 

時の英雄とも呼べる老家電たちが

声がかかるのを今か今かと待ってるんだけど

全部書いてたらそれこそ尺が足りないから

また今度、機が熟した時にでも書くとして

今日のところはこれぐらいでまとめさせて頂くけど

 

何はともあれ実家って

老家電たちに残された

最後の楽園なんじゃないかなって思う

 

実家の変わらなさというか

こうも実家の堅如磐石の普遍性を

まざまざ見せ付けられると

きっと、今の科学では説明できない

何か不思議な力が働いてるんじゃないかと思う

実家に。

 

(゚Д゚)ノ

 

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