つまらぬものを斬ってしまった

誰の琴線にも触れないであろう日常のカタルシス

ネイティブと戦えⅡ【回想録その2】ごめん6000字超えた

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acworksさんによる写真ACからの写真  

 

 

前回のあらすじ

 

さかのぼること10年前

とある小さな南の島の

絵も無い、花も無い、歌も無い

飾る言葉も、洒落も無い

そんな居酒屋で起こった小さな事件

トンネルを抜けるとそこは花の都だったぐらい

垢抜けすぎてて逆にヤバイ二人の男女

狙いはパリコレ強行突破か!?

もはや絶体絶命

揺れ動く女の乳と居酒屋店主の心や如何に!?

空前絶後の心理戦のその裏で

歴史の波に埋もれた真のフランス革命

静かに幕開けようとしているのかいないのか

 

・・・っつーわけで

 

はいはーい

だいぶ時間が空いちゃったけど

2話目でーす

お送りしますのはワタクシ

パンが無いならうどんを食べればいいじゃない

で、お馴染みの

 

どーも、マッコリ・アントワネット2世です

そして嘘です

 

この記事から読んで下さってる読者様には

何のことか分からないだろうと思い

一応あらすじ入れときましたけど

余計に話が見えてこないというこの不毛

 

しかもねー

今回6000字超えちゃってんだよね

長げーよ

誰が読むんだよ

 

でも、ま

 

気を取り直して

1話から読んでやってもいいぞって方は

こちらからどうぞ↓

 

www.mamamaccori.com

 

 

そーです

そーなんです

まさかのフランス人到来

 

日本語にも英語にも染められてない

まじりっけなし100%おフランス

おそらく

「良い靴を履くとその靴が素敵な所に導いてくれるの」

みたいなその場のノリと心意気だけで旅に出ちゃった

自分探しの迷子カップ

 

片や  

フランスと言えば?と聞かれたら

間髪いれずパンと答えるぐらいの

薄っぺらな情報量しか持たない

哀しいくらいの島国育ち&生粋の日本人

生フランス人なんて初めて見ましたよ

生キャラメル以来の衝撃ですよ

 

英語だってろくすっぽ話せないのに

フランス語なんて1単語だって分かるはずない

夫は厨房に隠れたままで一つも役に立たないし

無謀

この上なく無謀だ

 

しかし

相手が一切引く気配も無いので

来店してもらうしかない

時間外だけど・・・

 

座敷はちょっと無理だろうという配慮の元

イスとテーブルの席に案内した

もちろんジェスチャーで 

 

そんで・・・

 

ここからどーする?

 

ちなみにうちは居酒屋

普通の流れで行くと

まず「お飲み物はどうしますかー?」

ってことになるんだけど

 

私の辞書には「お飲み物」というフランス語は無い

てか辞書そのものが無い

それ以前に

このフランス人カップルが

うちの店をどう認識しているのか分からない

 

とりあえず

おしぼりとお水をお出しして

メニューを・・・

うん

メニューは意味無いから

今回メニューの出番は無いんだった

写真とかついてないし

 

体一つでどうにか

オーダーを掴み取らなくてはならない

私のミッションインポッシブル

  

「オーダー」とか「注文」とか

「メニュー」とか「リクエスト」とか

「てか何食べたい?」とか

色々言ってみたんだけど

このフランス人カップルには一つも響かず

 

てか軽くシカト?みたいな

こんなに球が返ってこない事って無い

もう無理無理

いきなりのギブ

助けて夫!

  

つって厨房の夫を見つめた

見つめたよね?私

確かに見つめたと思うんだけど

全然夫と目が合わない

 

なんかピッタリ柱と夫が重なって

ちょうど見えない感じになってる

私が左右に動いても

夫も同時に動いてて

完全に視界から消えちゃってる

 

まー、夫には外国人に

軽いトラウマがあるからね

そのトラウマのせいで

絶対、外国人に近寄らないって

確固たる信念があるからね

もうその信念っつったら鉄の意志だから

 

とんだアイアンシェフ

 

その内、女の方がおもむろに携帯取り出して

あ、スマホじゃなくて携帯ね

そんでその携帯で辞書的なのを開いて

何か調べだしたんだけど

 

その動作、もっと早く見たかったなー私

 

そこで女が一言

 

「プリーズ、ジャパニーズフード」

 

漠然としたオーダー頂きました

そのオーダーを持ち帰り

夫のところに相談に行きました

 

私「なんか、ジャパニーズフード言われたんだけど」 

夫「何それ、もっと情報持って来てよ」

私「無理です、相手はフランス人だよ」

夫「フランス人ってことは

コースっぽい料理にした方がいいのかな?

刺身とか食えるのかな?」

私「全然わかんない」

夫「使えねーな、もっかい行って情報集めて来い」

私「(↑それはお前だ)えー、気まずい」

夫「これじゃ、なにも出せないよ

いいから行ってきて」

 

しぶしぶ二人の元に戻りまして

知ってる英単語を羅列しました

もしかして何か引っかかるかもと思って

「チキン?ビーフ?ポーク?」

「ボイル?ソテー?グリル?」

 

10単語くらいで軽くネタが尽きた頃

また女が携帯いじり始めたから

私も一緒に経過を待つこと2分

 

女が一言

 

女「フィッシュ」

私「フィッシュ?」 

女「ウィ」

私「ウィ?」

女「ウィ」

私「・・・・」

女「・・・・」

私「わかった、少し待っててね」

 

「ウィ」がフランス版の「イエス」だってことは

後に知ることとなるのだけど

とにかく私は「フィッシュ」の情報を

夫に持ち帰った

 

私「なんか、フィッシュって言ってる

そんで、ウィって言ってる」

夫「ウィ?私たちはってこと?」

私「私たちは魚ですってことかな、たぶん」

夫「何その格言めいた暗号」

私「わかんない」

夫「私たちは魚が食べたいってことじゃないの?」

私「そーかも」

 

今思えば

すげーアホみたいな会話

このアホ原理でいくとスマスマの「ウィムッシュ」は

「かしこまりました、ご主人様」じゃなくて

「私たちは男だ」になってしまう

 

そんな無学のアホ二人が

ウィ違いだったにもかかわらず

奇跡的に魚料理までたどり着いたのだ

世の中捨てたもんじゃない 

 

本来の居酒屋スタイルなら

飲み物伺ってお通しをお出しするとこだけど 

くどいようだが相手はフランス人 

お通しのシステムなんざ

絶対理解できないだろうから

適当に3品ぐらい出して

様子見ようってことになった

 

ちょうど夫は

本日のお勧めの魚をさばいていたとこだったので

その魚を出すことにした

 

その魚は地元では「ネバリ」と言って

都会では「クエ」とか「アラ」の仲間に属する超高級魚

この魚であれば、まー間違いない代物

 

そこで夫は一つの賭けに出る

 

夫「やっぱ刺身出そうか・・・」

私「え、マジすか、生もの大丈夫?」

夫「だってジャパニーズフードって

たぶん和食が食いたいんじゃない?

だったら刺身は外せないだろーが」

私「えぇー、どう見てもあの二人、日本通じゃないよ?

初心者だよ?お箸使えるかも怪しいよ?

ワサビ普通にディップしたらどーする?」

夫「あんたが見張ってればいいじゃん」

 

ご無体・・・

 

まー、持って行ったよ

刺身

しかも夫の思わぬアドリブで

マグロとネバリとイカの3点盛り

どーすればいいの?

イカとかすでに魚じゃないし

もうジェスチャーで説明できる範囲

超えてるんだけど

 

テーブルに置かれた刺身を

見つめたまま固まる二人

と、私

 

とりあえず

お醤油を入れてあげて

刺身をそれにつけて食べるんだよ、みたいな

身振り手振りしてみせた

 

二人は軽くうなずいて

やっと割り箸を手に取ったんだけど

くっついたままの割り箸を

刺身に刺そうとしたから

 

「ちがーーーう!!」っつって

あわてて割り箸を割ってあげて

こう使うんだよーっつってやってみせたけど

そんなすぐすぐ出来るわけ無いよね

これは私が悪かった

 

「ちょっと待ってて」つって

急いでフォークを取りに行って戻ってきたら

すでに二人は下手な金魚すくいみたいに

慣れない箸で皿をかき回してた

 

せっかく美しい刺身の盛り合わせが

海鮮サラダみたいになってた

 

二人から箸を取り上げて

代わりにフォークとナイフを渡してあげたら

私のほうを見て「ありがと」みたいな顔して笑った

 

っつーか、ここに来て初めて笑ったんだよね

 

考えてみたら

こんな言葉も土地も文化も何もわからない状態で

やっとありつけた食事なのかもしれないし

きっと心細かったのかもしれない・・・

私だったら絶対不安だもんね

そう思ったら急に同情してきた

 

私ったらビビッてばっかで自分の仕事忘れてた

私の仕事はお客さんに笑って帰ってもらうことだった

こんなんじゃサービス業失格だ

 

そう心を入れ替えて

こうなったらこの二人に

ここに来て良かったって満足してもらえるように

一生懸命がんばろうって思った

 

その矢先

 

男がいきなりワサビの塊全部を

醤油にダイブ

 

──前途多難

 

もう全然目が離せない

超付きっ切り 

今は営業前で良かったとすら思えてきた

でもなぜか燃えてきた

 

それから魚の煮付けと

天ぷらの盛り合わせを持っていった

骨は綺麗に抜いてあるから

思ったよりスムーズに食べてもらえた

 

ナイフとフォークを得たフランス人は

さすがのフォークさばきで

ど田舎の居酒屋が

急にフレンチレストランみたくなって

なんかもう私も

軽くギャルソンみたいな感じになってて

 

食事の進んでいる二人を見つめながら

嗚呼、なんとか無事にこのミッションを

終えることが出来そう・・・

そう思った

 

そしたら、またしても夫のアドリブ

「焼酎をサービスで持って行け」

とのこと

 

なんだろ

今まで味方だと思っていた人に

背後から斬りつけられたこの感じ

 

焼酎のことなんか説明できない

しかもさっきお水出したのに

絶対ややこしい

水のおかわりだと勘違いされると思う

 

それに「サービスで」って

いわゆる「無料です」って

絶対わかって貰えないと思う

 

でも「早く行け早く行け」って

うるさいから

焼酎の水割りを二つ

恐る恐る持っていった

 

「どーぞどーぞ」言うて

「アルコール、アルコール」言うて

 

そしたら男が

グビーーーーッ!!って

一気に飲み干しちゃって

「あーーーーっ!」って 

言ったけど遅くて

そーっと男の顔色伺ったら

 

真っ赤な顔してニッコリ

 

今日イチの笑顔見せてくれた

そんで女の方にペラペラと何か言って

たぶん「飲め飲め」的なことを言って

 

女もそれ聞いて

グビーーーーッ!!

 

(゚Д゚)

 

その後、二人の表情が和らいで

「もう一杯ちょうだい」みたいな

ジェスチャーしてきたから

 

結果的には良かったのかな?

なんて思いながら、おかわり持って行ったら

 

また

グビーーーーッ!!

 

(゚Д゚)

 

かなりの酒豪だった

 

酒豪二人は文字通り

駆けつけ3杯一気飲みして

上機嫌で私に何か言ってきた

もちろん流暢なフランス語で

一言もわからない

 

でもなんか旅行中の出来事を

聞かせてくれてるような気がしたので

「うんうん」うなずいて聞いていた

その間、二人は笑ったり

軽く険悪な空気になったり

男の方がちょっと押され気味だったり

なんとなく旅行中の二人の上下関係見えてきた

たぶん女の方が私に一生懸命

男の愚痴をこぼしているのだろうと思った

 

すると突然女が私を見て

「トワレ」

と言い出した

 

完全に気ぃ抜いてたんですけど

「トワレ」

って何だろう?

オードトワレって聞いたことがあるけど

香水の話かなんかかな?

 

「トワレ、トワレ」

女はずっと言ってる

男も「トワレ、トワレ」言い出した

 

なんかわからんけど

急なトワレコール

その内、女は立ち上がって

モジモジしだした

 

(゚Д゚)ハッ!!

 

トワレってトイレかーっ!!

 

こっちです、こっちー!

トイレこっちー!!

慌ててトイレに案内して

ホッとしたのも束の間

 

今度は男が泣き出した

どうやら泣き上戸らしい

なんかわからんけど

とりあえず引いた

 

え、今日イチ気まずいし

 

見ない方が良いのかな?

良いよね?

お皿下げるついでにこの場は去ろう

 

私はお皿持って厨房に下がった

夫はずっとそれを見ていたらしく

「男女のことに他人が首突っ込むもんじない」

って言った

まー、そうだよね

私としては全然首突っ込んでなんか無いけど

断じて無いけど

あいつが勝手に泣き出したんだけど

そっとしておくことにした

 

その内、トイレから女が帰ってきた

 

ヒールをカツカツ言わせて

さっそうと彼女が歩くたびに

横乳がこぼれそうだったので

私と夫はハラハラしながら

彼女の後姿を見送った

 

もうね

横乳に気を取られて

完全に見逃してたけど

 

あのね

スカートの後ろが全部

パンツん中に入っちゃってますから

 

何をしたらそうなるのかわかんないけど

衝撃のパンツ丸出しですから

 

なんなら

真っ赤なレースのパンツから

お尻が透けて見えてっから

 

こりゃもう女の一大事

ここは何とかしてあげなきゃと思って

急いで女のところに走っていったんだけど

 

女はすでに男の向かいに座ってて

何やら男に話しかけてる

 

そーいや、泣いてたんだっけ、彼

 

座っているから丁度見えないけど

未だ女のパンツは丸出しのまま

 

そうこうしてる内に

二人の会話もだんだん熱を帯びてきて

本格的に喧嘩みたいになってきた

 

どどど、どーしよう?

割って入るべきだろうか

夫をチラっと見たら

また柱になってた

 

「まーまーお二人さん落ち着いて」

とかなんとか言うべきだろうか

ついでに

「おっ?お前、パンツ見えてるぞ

てか、お前の方は泣いてんじゃねーよ」

っつって軽く諌めるべきだろうか

 

いや、むしろ言いたい

パンツのことだけでも言いたい

 

色々考えた結果、勇気を出して

「まーまー・・・」の「まー」まで言ったところで

二人にごっつ睨まれたので

とりあえず黙りました、はい

男女のことに他人が首突っ込むもんじゃないので

 

でも、このまま放っておいたら

どうなっちゃうんだろう?

てか私、今この場から去るのも

このまま見てるだけってのも

どっちも不自然じゃない?

 

だから、せめて頷くことにした

男が話せば男の方を見て頷き

女が話せば女の方を見て頷く

この場を回してるのは、まるで私

 

次は男のターン

それが終わると女のターン

はい、ここで一旦CM挟みまーす

 

私が密かに田原総一郎みたくなってた

その時・・・

 

バンッ!!

 

ついに女がキレて

机を両手で叩いて立ち上がった

 

これはやべー・・・

てか、パンツ見えてますよ

 

バンッ!!

 

負けじと

男の方も立ち上がった

 

そしてそのまま

 

ブチュゥゥ~~ッ!!

 

キス・・・

 

(゚Д゚)え

 

チュ━━(*´з)(ε`*)━━!!!

 

熱烈なキス・・・

 

待て待て

ちょっと待て

何?その情緒

理解できない

 

何なの?ドッキリ?これ

モニタリングかなんか?

テッテレーっつって誰か

ドッキリの札持って現れるんじゃね?

 

どうでもいいけど色々ありすぎて

どこに驚いたらいいかわかんない

 

こんなもんなの?

フランス人って

こんな普段からドラマチックなの?

 

チュ━━(*´з)(ε`*)━━!!!

 

てか

長げーよ

まだやってるよ

何か始まる前だろそれ

ホテル帰ってやれよ

 

夫もさすがに柱から出てきたよ

「今の内にパンツどーにかしろ」

っつってるよ

このタイミングで

どーしろと?

 

結局

 

どーにもできなかった

私の意気地なし

 

そのまま二人は

なんか勝手に満足したみたいで

お会計して帰ることになりました

 

お会計のとき

男の方がやっとパンツに気付いて

なんかペラペラと女に言ったら

女がちょっと照れながらパンツ直して

男にチューして終わりました

 

なんだよw

 

でもまー、結果的には

二人とも笑顔だったので

良かったかな、うん

  

最後に、入り口まで二人を見送りながら

「ありがとう」ってフランス語で

なんて言うんだっけなーと考えてたら

フワッっと降りてきた単語があったので

これだ!と思って

 

チェルシー!」

 

って言ったら

二人にちょっと変な顔された後

 

「メルシー!」

 

って言われて

死ぬほど恥ずかしかったけど

 

色々ありすぎて

なんかすげー疲れたけど

まだ営業前なんだよな・・・

 

( ´_ゝ`)

 

 

おしまい

 

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