クリスマスロスに陥る私の心を夫の趣味が容赦なくえぐる
楽しいクリスマスが終わると
お片づけが待っている
それは世の常
そしてそのまま
年末の大掃除が始まる
あー、めんどくせ
どーも、まままっこりです
クリスマスロスです
ただいま絶賛クリロス中です
何？クリロスって
もしかして奴は大変なものを盗んで行ったの？
貴方の心を盗んでいったの？
いやそれはクラリス
・・・もう頭おかしくなりそう
だって、クリスマスから正月までのスパン短すぎ
もう少し余韻に浸っていたいのに
街はあんなに赤と緑だったのに
全てがキラキラと輝いていたのに
私はまだ、とどまっていたかったのに
その背中をギュウギュウ押してくる奴らがいる
猪とか富士山とか七福神とかが
宝船にたくさんの餅やら鯛やら乗っけて
まだですかー？まだですかー？
うるせぇー！まだだよ！！
さっきまでサンタさん接待してたんだよ！
今年の干支だった犬なんかは
とっくの昔に、２月ぐらいには忘れ去られて
尻尾巻いて逃げてったよ
それが今じゃ、猪が我が物顔で街を牛耳っている
猪なのに牛耳っているってなんかややこしい
猫耳は許せても牛耳はゆるせん
猪が、牛耳でギュウギュウ押してくる
やっぱりなんか許せん
あー、はいはい分かりましたよ
やりますよ
やればいいんでしょ
大掃除
せっかく楽しい現実逃避だったのに
まーどーせ、いずれはやらねばならない大掃除
仕方が無い
えーと、うちはとにかく物が多い
とにかく狭い家に、とにかく物が捨てられない夫
とにかくそれを甘やかす私
夫は趣味が多い
釣り道具、ＤＩＹ道具、絵を描く道具、
家庭菜園、などなど・・・
まーそれはまだいい
すでにどうしようもないくらい、物に溢れてはいるが
それはまだ目をつぶろう
問題は「流木拾い」の趣味
前回の記事でチラッと書いたが
夫は今、流木に夢中なのだ
最初はグッピーの水槽を、より自然に近づけるため
川や海で、いくつかの石と流木を拾ってきた
グレードアップした水槽にご満悦だった
が・・・ここで終わらなかった
水槽に使われなかった、余った流木が可哀想に思えたらしい
せっかく流木として生まれたこの子達に
何か、何か生きる希望を・・・！
光を、スポットライトを当ててやりたい
そうして生まれたオブジェ
そこはかとなく、はかそことなくもなくもない・・・
そんな仕上がり
アートだ、と言い切るのが大事
もう胸を張って、アートだ、と言おう
そうすれば誰も何も反論の余地は無い
アートとゆう言葉の持つ、曖昧でいて必殺技的な
意味や意義は考えさせない最強呪文をぶっ放そう
「ぁ、ぁあ・・・アートね
うんうん、わかるわかる、なんかこう・・・
おもむきがおもむいてるよね」
となるはずだ
しかし、そうなると夫は調子に乗るしかない
この日から流木はただの流木ではなくなった
「見ろよ、この滑らかな曲線」
「荒々しい風貌、どんな激流にもまれたんだ」
「美しい、ああ美しい」
流木の魅力にとりつかれた夫は
狂ったように海へ、川へ
流木を拾いに、来る日も来る日も
だって、芸術が呼んでいるから
それはそれは様々な流木を拾っては
私に意見を求めてくる
「う、うわぁ、かっこいいねー」
当然それぐらいしか言えない
夫は不服そうにするが仕方ないではないか
私にしてみれば、全ての流木が
もれなく等しくゴミでしかないのだから
流木の感想など問われても
正解が分からない
あるの？正解
誰か教えて
てか助けて
日に日に増える流木
あっちの棚にも流木
こっちの棚にも流木
右を見ても流木
左を見ても流木
と石
トイレにも流木
玄関にも流木
キッチンにも流木
お気に入りの流木
と石
まだまだ流木
うじゃうじゃ流木
アートの予備軍がこんなに
棚とゆー棚は占領され
まさに芸術のテロリスト
流木の流木による流木のための政治が
マニフェストとして宣言された
流木に逆らうものは排除され
流木を崇めるものはその先を約束される
絶対的な支配
流木による独裁国家がここに誕生した
ああ、なんとゆーことだろう
夫はその独裁国家の人柱となり
己の全てを捧げている
そして私は当初の目的を忘れているではないか
そう、大掃除
この流木を放置したまま大掃除は為し得ない
なんとか流木を捨て去りたい
しかし流木に魂を奪われた夫が立ちふさがる
どちらも引けない
長い攻防が続く
あまりに長い攻防が続く
・・・・
・・・・・・
もーめんどくさ
やっぱめんどくさ
考えるの疲れた
流木を愛する馬鹿な夫を、それでも愛そう
