つまらぬものを斬ってしまった

誰の琴線にも触れないであろう日常のカタルシス

ネイティブと戦え【その1】

「ハロー、ナンシー」

「ハロー、タケオ」

「ハウアーユー」

「アイムファインサンキュー、アンデュー?」

「イエス、アイムファイン」

 

学校で習った中で唯一覚えている英会話


自分でもびっくりするくらい

英語が話せないんです

きれいさっぱり忘れてしまったのです

 

ハロー、エブリワン、アイムマママッコリ

 

今回の記事は少し長くなってしまったので

2部に分けようと思います

どうぞ、お付き合いください

 

私はビジネスホテルの客室清掃が終わったあと

同ホテルのレストランに出勤するんだけど

田舎とはいえ、ホテルってところには

外国のお客さんが宿泊することもあるわけで

英会話は重要な課題の一つと言えよう

 

なーんて

 

従業員は誰一人英語話せない

島から一歩も飛び出したことない人ばかり

 

でも大丈夫

今は便利なアプリがあるから

フロントにはタブレットが常備されてるし

外国の方にも安心してお泊まり頂けます

 

・・・

 

フロントにはね

 

フロントには

 

(°∀°)えっ?

 

じゃあレストランには?

便利なアプリは?

タブレットは?

ノー支給ノーライフ

 

基本

夜のホールは私一人なんですけど

 

誰も助けてはくれない

タブレットも無い

そんなんでもし

テロリストなんか来たらどーすんの?

ネイティブに手を上げろって言われても

100%聞き取れない自信ある

手を上げないまま間抜けヅラの私が

穴だらけになってもいいの?

 

まー

誰も好き好んで

こんな離れ小島にテロには来ないか

 

ってそんな感じの

ある日の夕食どき

レストランの内線が鳴った

フロントからの連絡だった

 

「今から外国人の宿泊者が3名向かいます

 たぶん日本語話せないから頑張って」

 

「あ、それじゃフロントのタブレット貸してくださ...」

 

「ガチャッ...プー、プー、プー」

 

電話切られた

 

丸腰ですか

丸腰で戦えと

待って待って

相手は核持ってるんすよ

せめて竹槍くらい装備させて

 

しかし

 

振り返るとすでに

外国からのお客様3名が立っていた

 

背の高い、お髭がフサフサのムックみたいな男性と

背の高い、頭が若干涼しい洋風の斉藤さんみたいな男性と

黒髪ロングヘアーのペネロペ・クルス似の美人女性

 

斉藤さんはノートパソコンを持っている

ペネロペ・クルスが威圧してくる

ムックはなんだか得たいが知れない

 

見た感じ

観光ではないっぽい

お仕事で来てるっぽい

なんか学者っぽい

勘だけど

 

「ぺらぺらbhfかdkj☆ぺらぺーら・・・」

なんか言ってる

なんか言ってる

斉藤さんがなんか言ってる

斉藤さんだぞ

どうするどうする

 

いかん何も浮かばん

 

びっくりするぐらい頭真っ白

でもめっちゃ見てくる

 

とにかく笑え

隙を見せるな

笑ったまま考えろ

いや考えるな

感じろ

・・・・

いや

やっぱ何も出てこん

感じるのはやめよう

いらっしゃいませって英語でなんて言うの?

いや知らん

いらっしゃいませはあきらめろ

何かないか

何かないか

しぼり出せ私

 

「あー・・・ハ、ハロー」

 

出た

ヘロヘロのハローが

我慢ハロー出ちゃった

 

死にかけのセミみたいなハロー

壊れかけのレディオみたいなハロー

何も聞こえないハロー

何も聞かせてくれないハロー

 

「Hi!・・・ぺらぺら・・・」

 

斉藤さんが更になんか言ってる

たぶん食事したいんだろう

ジェスチャーがそう言ってる

てか、そりゃそうだ

レストランに来る理由それ以外に無い

落ち着け私

 

オーケーオーケー

とにかく席に案内しなければ

えーと

席に案内する英語

えーとえーと

 

こうなったらこっちもジェスチャーで切り抜けるしかない

思いっきり4人席の方を指差して言ってやった

渾身の一撃でぶちかましてやったね

 

「ゴー!

 ゴー!シットダウン!」

 

 

( ゚、ゝ゚)( ·_ゝ·)( ´_ゝ`)・・・シーン

 

 

時間がね

止まったかと・・・

時をかける熟女かと・・・

 

斉藤さんはちょっと驚いてた

ムックはフサフサすぎて顔が見えない

ペネロペ・クルスはちょっと引いてた

 

全然誰も私の指先見てないし

むしろ私の方を信じられない目で見てくる

人ってあんな冷たい目で見れるの?

まるで汚物を見るような

嫌悪感丸出しの

あんな目で人から見られたの初めて

 

え、なんで?

ペネロペなんでそんな引いてんの

ゴーかな

ゴーがいけなかったのかな

やっぱプリーズ付けないと失礼だったのかな

 

後で調べてみたら

そんなことじゃなかった

 

確かに「Sit Down」は「そこに座れ」って意味で

超上からの超失礼な感じには変わりないけど

私のやらかした失言はそれどころじゃなかった

 

 

シットダウンは「うんこしろ」って意味だった

 

 

やってもーた

 

初対面の人間に「うんこしろ」って

満面の笑顔で放ってしまった

 

ペネロペがドン引きしても仕方ない

 

あだ名がうんこになっても反論できない

うんこのあだ名も甘んじて受けよう

 

もうジタバタしねぇ

みんなに悪い

 

 そんなわけで

スウィットダウンって発音しないと

座れって意味にはならないらしいよ

みんなも気をつけようね

 

でも、その時の私がそんなこと知る由もなく

ステージは次に進む

 

つづく

 

PS:時間がなくてブログ見て回れませんでした

   ちゃんとゆっくり見て回るので

   お許しください(´・ω・`)

 

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